訴訟業務への取り組み

司法書士は、100年以上にわたり、裁判所に提出する書類を作成する業務を通じて、市民の皆様の本人訴訟を後方から支援してまいりました。

平成14年の司法書士法の改正により、法務大臣の認定を受けた司法書士(一般には「認定司法書士」と呼んでおります)は、簡易裁判所の訴訟代理権を付与され、法廷で皆様の代理人として、訴訟行為ができるようになりました。もちろん上級審では、いままでどおり訴訟書類の作成を通じて、ひきつづき訴訟支援が可能であることは言うまでもありません。

にしかた法務司法書士事務所では、難解な事案については、パートナー弁護士と共同受任の形で訴訟活動を行った実績もあります。

後記のような、訴訟一般のような、事案がありましたら、是非ご相談ください。事案によっては、最初からパートナー弁護士関与のもと、問題解決にあたらせていただきます。

訴訟一般について

 ・突然、訴状や支払督促状・調停の呼出し状が送達されてきたら

 裁判所から、突然このような書面が送られてきたら、普段、裁判所になじみのない皆様は動揺して、どうしたらよいのか困惑されることでしょう?問題は、訴状及び支払督促に対する対応です。いわれのない請求だから私には、関係ないやと、何の対応もしないで、そのまま放置すれば、事情を知らない裁判所から、相手の言い分を認めたと、みなされ敗訴判決を受ける可能性があります。是非ご相談ください。

 ・売掛金を払ってもらえない、家賃を払ってもらえない、貸金を払ってもらえないなど

 物を売ってあげたのに、家を貸してあげたのに、親切心でお金を貸してあげたのに、いっこうに売買代金・家賃・貸金を支払ってもらえない、このように請求できる権利があっても、相手先が無視しているうちに、債権が時効になったり、相手の責任財産が毀損して、回収があやうくなったりいたします。裁判を勝訴に導くには、証拠に基づく立証方法及びその後の強制執行の対象と執行手段をどうするか、など専門的知識、知見が必要な場合が多々あります。一緒に考え、債権の回収をしていきましょう。

・交通事故にあったら

 この頃、自転車事故の高額賠償が、話題になっておりますが、裁判事例が豊富で専門部がある、自動車事故とことなり、自転車事故は法整備されていない関係で、被害者の立証活動は困難をともないます。それと保険会社から提示される損害賠償額が裁判基準より低いのが現状です。保険のプロと示談交渉する前にご相談ください。

・その他法律相談

 訴訟業務の取り組みにも記載致しましたとおり、一般訴訟及び家事事件(離婚訴訟)など経験豊富なパートナー弁護士と一緒に相談を賜りますので、こんな相談をしていいのかと考えないで、とりあえずご相談いただければ、新たな解決の視点がみつかるかもしれません。

訴訟についての基礎知識

【訴訟における立証活動について】

訴訟という言葉の響きから受ける印象は、個々さまざまだと思います。ある日、突然、裁判所から訴状、支払督促状、少額訴訟の提起による呼出し状が自宅に届いたとすれば、相手(原告)は、あなたに対し、何らかの法的請求権があると思って、訴えの提起に及んだことが推測できます。このように訴訟は、原告の訴訟物(請求権)に対する、請求原因(主張事実)に対する、審理・判断(慎重な審理形態である口頭弁論の開廷)を裁判所に求めるものです。裁判所は審理の結果、真偽が不明だからといって、裁判を拒否することはできません。原告の主張に対し判決(和解で終了することもある)という形でなんらかの、回答をださざるを得ないのです。神ではない(争いの原因となった事実を見てはいない)裁判官を補佐する仕組み(判断基準)は訴訟法の随所にちりばめられています。そのいくつかをあげるとすれば、弁論主義の3テーゼ、弁論の全趣旨、自由心証主義、時期に遅れた攻撃防御方法、擬制自白、経験則、高度な蓋然性等などがあげられます。主張事実(主要事実)の立証活動に関係する仕掛けとして、法律要件分類説という考え方を基礎にした、立証責任の分配という仕組が考えられます。これは、原告・被告のどちらかに主張・立証責任を負担させるのです。主張立証責任を負担する者が、主張事実に対する立証に失敗すると敗訴という結果を招くことになります。

【最高裁の考え方】

では、どの程度立証活動をすればいいのか参考になる最高裁の判例がありますのでご紹介いたします。最高裁は以下のように判示しています。

「元来訴訟上の証明は自然科学の用いるような実験に基づくいわゆる論理的証明ではなくして、いわゆる歴史的証明である。論理的証明は真実そのものを目標とするに反し歴史的証明は真実の高度な蓋然性をもって満足する。言い換えれば通常人なら誰でも疑いを差し挟まない程度に真実らしいとの確信を得ることで証明できたとするものである。だから論理的証明に対しては当時の科学水準において反証というものを容れる余地は存在しえないが歴史的証明である訴訟上の証明に対しては通常反証の余地が残されている」この判決は立証ということに対する最高裁判所の考え方をしめす重要な判例です。

【判例の判断を解説すると】

何を言っているのかといいますと、要件事実(ある法律効果を認めてもらうための条件)を証拠に基づき証明する場合は科学的、数理的な完璧な立証でなくてもよいといっているのです。訴訟で証明する要件事実に該当する具体的事実は、過去の歴史的産物であり、時の経過によって、その事実は、私たちの記憶から薄れゆく存在であるということが経験則上で理解できます。このように過去の事実を現在に再現・適示して裁判官の自由な心証(評価)にゆだね、事実認定していただかなくてはならないのです。事実と評価(意見・見解)がキーワードです。もちろん、事実認定し評価するのは裁判官なのですが、その評価の視点は普通の人から見て真実の高度な蓋然性をもって立証されているのかどうかというレベルで立証すれば十分だといっているのです。だから、立証レベルでは、科学的・論理的、因果関係は要求されないことになります。であれば、反対証明によって、裁判官に再度の心証形成を求める余地もあるということです。これらのことを踏まえて証拠収集に努めるべきなのです。

コラム

要件事実(主要事実)の立証について

訴訟は訴訟物の提示(処分権主義)から主張レベルでの弁論主義を通じての争点整理で立証すべき事実を明確にしていくのですが、訴訟の話をしているのに突然恐縮なのですが「事実」という立証命題をみるにつけ、私のつたない初級英文法レベルで想起するのが「助動詞」です。ご存じのとおり助動詞とは読んで字のごとく英文の根幹である動詞を助ける役目をしますよね。そして助動詞の後には動詞の原形ですよって教わりましたね。動詞の原形とは「非事実」すなわち「事実ではないこと」ですね。過去と現在は「事実」であり過去は確定事実、現在は事実を積み上げている過程で刻々と確定事実化していますね。立証すべき事実はこれら過去の事実であり、そこには「事実」とともに「事実」を裏付ける痕跡があるはずですよね。痕跡こそが、立証レベルで必要とされる「証拠」です。あたりまえですが未来(非事実)Will、Canは立証できません。私のところにも訴訟の相談が少なからずあるのですがインターネット社会を反映していろんな法律相談をネットサーフィンした挙句、よりによって智慧の神に見放された私のところが最後かいってなことです。あげくに証拠をいっぱい持っているから勝てるって言うんですね。自由心証主義適用の立証レベルでの判断を裁判官にとって代わって事実認定と評価をしてしまっていますから菲才な私のでる幕などありません。間接証拠も直接証拠に独断で転換しているのでしょうか?くれぐれも間接証拠も事実認定と評価は裁判官の専権事項です。

お問い合わせは03-5615-5020(代表)(相談受付時間:9:00~18:00)

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